書道家になったきっかけ。
それは母です。
実は母も書道家で、現在も高校で書を教えながら、2つの教室で子どもたちに書を教えています。
実家には母の書道部屋があり、
そこには沢山の筆や書の本、母が書いた作品があります。母は、私が生まれる前から書道教室を開いてたくさんの生徒に書をかく楽しさを教えていました。私たち(私には姉が2人おり3姉妹!)が産まれてからも書道教室を続けており、私や姉がまだ字が書けない時から、書道教室に連れていってはお姉ちゃんお兄ちゃんの書く様子を間近で見させてくれました。
このように、わたしが物心ついた頃には書の世界に触れており、自然と筆を握っていたのです。そして私自身も幼い頃は母の書道教室で書を学び、中学まで教室に通って書をかき続けました。
母は子どもたちに書を教えながら、定期的に自分の作品も制作していました。まずはノートに作品イメージを書き、筆と紙と墨を選び、納得いくまで何枚も何枚も書いていた母を間近でみて、母の流れるような優雅な筆遣いに幼い頃から魅了されていました。
高校2年生の進路を決める時。
書道からいったん離れ、部活動はテニス部に入り、放課後や休日はテニスに打ち込んでいた高校生活。書くことは好きだけれど、果たして私が母と同じ道に進めるのか、、、進路を悩みました。
高校から専門的に書道を勉強する同級生もいる中で、書の道へ進んで大丈夫なのか、といった将来のことへの不安や葛藤がありましたが、書をとことん学んでみたいという思いが強くなり、大学で書を学ぶことに決めました。
大学では普通科を出た私とは違い、高校から専門的に書に触れた仲間がそろっており、とても刺激的な日々でした。書の筆法や書の歴史やさまざまな書体書風を学び、書の奥深さや素晴らしさを再認識しました。それと同時に、墨の香りや筆の動き、紙に触れる音、字の美しさ、書がもたらす空間など、ますます書の世界に魅了されていきました。
と、つらつらと書きましたが、、、
冒頭でお伝えしたように、わたしが書の道に進むきっかけは、やはり母です。
母が書家でなければ私は書の道に入っていなかったとさえ思います。
今でも母はわたしの一番の師です。
まだまだ母の背中は遠いですが、こんなに身近に尊敬できる書家がいることに感謝して、わたしも母に追いつけるよう、たくさんの方に喜んでいただけるよう、精進していきたいと日々思っています。
毎週母と一緒に書道教室で子どもたちに書を教えているので、その様子や、命名書以外の書の制作についても追ってお話ししたいと思います。